
私が登録販売者の資格をとろうと思い立ったのは子どもたちが幼稚園だった頃です。数ある資格の中から、新たに取得する資格を登録販売者に定めた後、6か月の勉強期間を経て試験に合格しました。合格後しばらくは「ママさん」をしていましたが、子どもたちが小学生になり、私は登録販売者の資格を生かして再スタートを切ろうとしています。
私の合格体験記と、その後についてのお話です。
登録販売者の資格とは
登録販売者とは 一般用医薬品販売を行うために必要な資格です。一般用医薬品販売とは処方箋が無くても購入できる医薬品のことで、登録販売者が扱えるのは第2類と第3類までで、第1類を扱うことができるのは薬剤師となります。
登録販売者の資格の歴史は、浅く2009年にできた比較的新しい国家資格です。
登録販売者の試験を受けようと思った理由
私が登録販売者の試験を受けようと思ったきっかけは、子育てにあります。子どもたちが赤ちゃんだった頃は、とにかくよく体調を崩して私も子どもと一緒に眠れない夜を過ごしました。子どもたちがなるべく体調を崩さないような環境を作りたいと、体のメカニズムなどを調べて行くうちに、体の仕組みや、医薬品のリスク、緊急性のある症状の見分け方などが少しずつわかるようになってきたのです。
そのうちにドラッグストアで子ども用の風邪薬の成分表をみるだけで、購入できるようになりました。この頃に、登録販売者の勉強をすれば、正しい医薬品に関する知識が手に入り、さらには家族の健康を守ることにも役立つと思ったため受験を決意しました。
通信講座を利用しての勉強
いま、子どもたちは小学生になりずいぶん手がかからなくなりましたが、私が受験を決意した頃はまだ幼稚園児でした。毎日が体力勝負でもっと時間が欲しいと思っていたものです。時間や体力にゆとりがないにもかかわらず、なぜ私は受験を決意したのかというと、資格試験の難易度は、試験が始まってから年月がたてばたつほど、上がっていくことが多いと思っていたからです。
スタートが早ければ、早いほど合格しやすいと信じていました。本屋さんに行けば、登録販売者用のテキストはたくさんありました。しかし、私は通信講座を利用して勉強することにしました。通信講座では、常に新しい情報を仕入れることができるからです。
45,000円の出費になりましたが、今でもこの選択肢は正解だったと思っています。課題を提出し、手書きの文字で添削された答案をみるととても励まされます。
勉強時間の作り方
登録販売者試験のために勉強しなければならない範囲はとても広く、試験には医薬品に共通する特性と基本的な知識、人体の働き、薬事に関する法規など計120問が出題されます。合格ラインは「総合得点70%以上で、かつ各科目40%以上得点」となるため、どれかの分野だけで得点を稼いでも不合格となってしまうのです。
「広く浅く」ではなく、「広くそれなりに深く」知識がなければ合格できないような仕組みになっています。学生の頃のように試験前に一週間だけ集中するといった方法では受からないと思った私は、一日30分の勉強時間をつくることにしました。
勉強時間の枠として確保したのは5時から5時30分までで、朝食作りを始める前です。とはいえ、普段は6時ごろ起床していたため最初の頃はとてもつらかったです。6時近くまで寝てしまった日は、日中に時間をみつけて勉強しました。
3日間勉強を休んだ日は、週末にまとめて勉強しました。とにかく、少しずつでも学んでいかなくては莫大な量の知識は身に付きません。
成分などが覚えられない時に実践した方法
登録販売者の通信講座を受講してから3か月ほどすると「漢方」に関する勉強が始まりました。主な医薬品についての成分や効能を学ぶのですが、とにかく漢方の分野だけは覚えられず、とても苦労したことを覚えています。
私にとってテキストに書いてあるすべての漢方が初めて学ぶ外国語のようなもので、たたきこんでも成分や効能を覚えられず、ついに私はある行動を起こしました。実際にドラッグストアを訪れ漢方コーナーに行き、商品名から薬の成分の特徴や効能を想像します。
そして薬の箱を手に取って説明文を確認し答え合わせをするのです。この方法は、意外にも頭によく入り、漢方だけではなく漢方の次に苦手としていたアレルギー用薬でも行いました。ずっと机に向かっているだけでは、飽きが生じますし、気分転換も必要です。
ドラッグストアで甘いものを買うついでに、医薬品コーナーに立ち寄って、一つでも二つでも知識を自分のものにする努力をしたことでより合格に近づいた気がします。
ついに試験当日、用意するべきもの
登録販売者の試験は、どの都道府県でも大学キャンパスが試験会場になっていることが多いようです。私の自宅から茨城の試験会場までは、車で40分かかり、付近の駐車場に空きがあるとは限らなかったため家族に車で送ってもらいました。
幼稚園児の子どもたちは、試験というものを理解しておらず、一人は笑顔で、そしてもう一人は大泣きしながら送り出しくれました。会場には想像していたよりも人が多く、衝撃をうけたことを覚えています。「ドラッグストアに就職がきまっているのかな」という雰囲気の大学生もいれば、40代後半と思われる夫婦が二人仲良く教室に入っていく姿も見られます。
またスーツケースを引きずりながら、他の都道府県から受験しに来ているような人を何人も見かけました。試験は、午前と午後に分けて行われ、午前の試験と午後の試験の間にあるお昼休憩の時間はかなり長く感じられました。
そしてこの時間は、勉強できる最後のチャンスです。私はお昼休憩に暇を持て余してしまったため、お昼休憩用の勉強グッズをあらかじめ用意しておけばよかったと思っています。また試験では相当な集中力を使うので、午前の試験を終えた段階で私はお腹がぺこぺこになりました。
頭も体力も使うので、おにぎりなどお腹にたまるもののほかに、チョコレートなどがあればよかったなと思います。
合格したら販売従事登録が必要!
今でも試験に合格したときのドキドキは忘れられません。私は試験に合格することが目標であったため、すぐに就職するつもりはありませんでしたが、子どもたちも小学生になり時間もできたためパートのお仕事探しを始めました。
実は登録販売者の試験に合格した後にも必要な手続きがあります。「販売従事登録」というもので各都道府県の窓口か郵送で手続きを行います。ドラッグストア等一般医薬品を扱うお店で働く場合は、必ず登録しなければならないので注意が必要です。
茨城でパートのお仕事を探していると、登録販売者の資格を持つ就職希望者に対して求人数のほうが多いようで、売り手市場だと感じました。またいろいろなドラッグストアの比較をしても、資格に関する手当をだしてくれるところが多く、本当に資格をとっておいてよかったなと思っています。
販売従事登録をすませたものの、正式な登録販売者として認められるには2年以上の実務経験が必要です。
マイペースに前にすすみたいと思います。